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保険の歴史|保険は海から生まれた!

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保険は、たくさんの加入者が保険料を出し合い、“もしも”のことに遭遇した人を救済するため、給付金や保険金を支払うという仕組みに基づいて運営されています。「1人はみんなのために、みんなは1人のために」という相互扶助の考えがベースとなっていますが、そのような考えはいつ頃から存在していたのでしょうか。

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コラムサマリ

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  • 保険の紀元は紀元前2250年頃、バビロンのハンムラビ王時代に生まれた
  • その後、海上貿易に関連してヨーロッパで発展、ロンドン大火から火災保険が誕生
  • 日本での海上保険制度の起源は、江戸時代初期の朱印船貿易
本文

保険の起源とは?

保険の起源は紀元前2250年頃、バビロンのハンムラビ王の時代だといわれています。当時、隊商による交易が活発だったものの、自然災害や盗賊などに襲われるといったリスクがありました。そのため、損害を受けた隊商をほかの隊商全体で助けようという申し合わせがあったようです。

似たような仕組みは、バビロンの交易先でもある古代オリエント(エジプト)などにもありましたが、バビロンにしても古代オリエントにしても、その仕組みには資金の借り入れや人質の提供が絡んでいるなど、現在の保険制度とは違った趣旨を含んでいました。

発展 海上から陸上へ

その後、紀元前300年頃に「冒険貸借」が登場しました。船舶や積荷のオーナーが資金を借り入れ、船が沈むなどのトラブルがあった場合には返済を免除される代わりに、無事交易を終えた時には利息と共に返済するという仕組みでした。

ところが、この利息の利率が1回の航海で24~36%とかなり高いものであったことから、キリスト教の隣人愛の精神に背くとされ、1230年頃に利息禁止令が発令されました。

この「冒険貸借」には、資金の借り入れと万一の補償という大きく2つの役割があり、大変重宝されていました。そのため、利息禁止令に触れないよう、「冒険貸借」は少しずつ仕組みを変え、イタリア北部を中心に「万一の補償」に重点を置く仕組みに整えられました。イタリアのピサで1379年に契約された海上保険証券が、現存する世界最古のものとされています。

15世紀に入り大航海時代が始まると、海上保険の仕組みはイタリア北部と交易が盛んだったスペインのバルセロナなどに伝わり、1435年に世界最古の海上保険法典とされるバルセロナ法令が誕生しました。

その頃、イギリスでは羊毛などの輸出が盛んでしたが、外国商人に金融業や貿易業を独占されていました。イギリスでの海上保険の始まりは、この外国商人のうち、ロンバード人が金融業のかたわらで海上保険を営んだことといわれています。

17世紀に入ると、ロンドンには社交や商談の場となるコーヒー・ハウスが増えました。エドワード・ロイド(Edward Lloyd)が始めたロイズ・コーヒー・ハウスでは、海運業者や貿易商人、海上保険業者が船舶や積荷の売買、海上保険の取引などを行っていました。

そのため、ロイドは海外情報に精通することができ、その情報を公開したことからロイドの店は繁盛し、彼の店を拠点とする海上保険業者はロイズ(Underwriters of Lloyd's Coffee House)として知られるようになりました。

その後、イギリスでは2社のみが海上保険を独占することとなり、ほかの会社組織は海上保険を取り扱えなくなりましたが、ロイズは個人事業主であったため引き続き海上保険を取り扱うことができました。

その頃、世界三大大火の1つであるロンドン大火があり、火災に備える保険が注目され始めたことから、保険が海上から陸上へ移行した時期ともいわれています。海上保険を独占することとなった2社は実際、海上保険より火災保険を重視しました。そのため、ロイズはロンドンの海上保険の大半を扱うまでに成長し、その後、法人格となりました。ロイズは現在も損害保険会社として存続しており、損害保険のルーツといわれています。

日本での損害保険の始まり

日本でも、遣隋使や遣唐使の時代に中国から伝わった備蓄貯蔵のための「義倉」や、一定の口数と給付金額を定めて定期に掛金を払い込む「無尽」など、相互扶助の考えは古くからありました。

日本での海上保険制度の起源は、江戸時代初期の朱印船貿易における「抛金」といわれています。その後、鎖国により「抛金」は減少しましたが、国内沿岸での海上輸送が発達したことに伴い、「海上請負」と呼ばれる貨物保険制度が誕生しました。

現在の保険の仕組みに直接通じるものは、江戸時代末期に海外視察から帰国した福沢諭吉が伝えたといわれています。その頃、さまざまな保険会社が設立されましたが、日本初の海上保険は、1879年に設立された「東京海上保険会社」です。また「東京海上保険会社」の創業者の一人は、2024年から流通する新一万円札の顔、渋沢栄一でした。

現在の損害保険〜多種多様になり、ピンポイントなニーズに合わせたものも展開される

大航海時代には海上保険が注目され、ロンドン大火以降には火災保険が注目されたように、時代や場所によって何をリスクと捉えられるかは異なります。

現在、私たちの身近にある損害保険は、火災保険などのほか、自動車事故に特化した自動車保険、旅行時のリスクに特化した海外旅行傷害保険や国内旅行傷害保険があります。また、最近では自転車事故に特化した自転車保険も登場し、ピンポイントなニーズに合わせたものも展開されています。

この多種多様な保険の中から、自分自身や家族が遭遇すると考えられるリスクを十分にカバーしてくれるものを上手に選んで加入したいものです。

この記事の執筆協力

執筆者名

国分さやか(1級FP技能士・CFP®)

執筆者プロフィール

お金の教室「おさいふほんわか心もほんわか」代表。創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。幸福度数アップの手段として金融知識を重視している。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義、執筆などで活動中。

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